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[第42回] 対談(3):文系学生、高校教師、芸術家にこそ使ってほしい

文系学生、高校教師、芸術家にこそ使ってほしい
Mathematicaはこれからどうあるべきか
神戸大学で数式処理の応用研究に携わる高橋氏、長坂氏による対談の3回目。「話が進むにつれ、話題は自然と今までのMathematica」から「これからのMathematica」へ。これまで深くMathematicaに関わって来た二人だけに、言葉にも熱が入ってきた。

神戸大学大学院 人間発達環境学研究科
                高橋 正氏 x 長坂耕作氏

OfficeスイートとしてのMathematica

Q : 先ほど、90年代のMathematicaの話題が出てきましたが、昔と比べて今のMathematicaはどのように変わって来たのでしょうか?

 

高橋氏

高橋氏: 何といっても、機能が増えましたね。昔は単純に数式処理のために使っていましたけど、今ではそれにとどまらない、様々なことができるようになった。逆に言うと、純粋に数式処理を目的に利用する人にとっては、必要ない機能が増えて来たとも言えますが。

 

長坂氏:基本的な部分に着目するとほとんど変わっていないですね。これはバージョン1の時点で基本設計がしっかりしていたからだと思います。他の数式処理ソフトだと、バージョンが変わると使えない機能が出てきたりするんですけど、Mathematicaにはそういうことが少なくて、そこは凄いなと思います。機能については高橋さんのおっしゃる通りですね。様々な機能が追加されたことで、幅広い層の人が利用できるようになったと思います。例えば統計計算をする際、エクセルでデータ処理して、専用の統計ソフトで計算して、結果をワードでまとめる、というやり方をする人が多いですが、Mathematicaを使えば全ての作業をシームレスに行えます。そういった使い方ができるようになったのは大きいなと。

 

長坂氏

高橋氏:ただ最近は、バンドルソフトとしてパソコンにMathematicaが入っているということがなくなりました。長坂さんが言うように、Officeスイートのような形で使う機会が減っているので、残念だなと思います。


■ 文系学生、高校教師にMathematica

Q. これから、Mathematicaはどうなっていくべきなんでしょうか?

高橋氏:僕自身はさっき言ったように、Officeスイートのような基盤ソフトとして利用できるような環境づくりが大切だと思います。そのためには、Mathematicaの新しい使い方を普及させるような人材を育成することが必要だと思います。そういう人材を育成する人がもっともっと出てきてほしい。

長坂氏:Mathematicaがどうなるべきか、という視点ではないですけど、僕は大学の、特に文系学生にMathematicaをもっと使ってほしいと思っています。もちろん理系学生にも当てはまるんですけど、さっき言ったように、Mathematicaを利用することで、計算処理や資料作成が凄く便利になるんですよね。でも今、それに気付いている人は本当に少ない。どうやったら気付いてもらえるだろうかということをいつも考えています。

高橋氏:中学や高校でももっと利用してもらいたいですよね。特に数学教師の方に、Mathematicaを授業で使ってみてほしい。数学と理科を比べると、理科だったら、模型を使って教えたり、夜空を見て星の動きを教えたり、川に行ってメダカの生態を調べたり、目に見えるような形で表現しやすいんですけど、数学は中々そうはいかない。でもMathematicaを使えば、グラフィックの機能等を使って表現できることも可能になることがあります。こういった機能を活用していっていただきたいなと思います。そのためには、少しずつ増えて来ていますけど、教材コンテストなんかを積極的に開催して、教師の方がMathematicaを使った教育成果をアウトプットできる機会をドンドン増やしてもらいたいですね。

長坂氏:僕たちはMathematicaを専門的な研究の分野で使ってきた一方で、Mathematicaの開発や、普及させる部分にも関わっているわけですけど、そういう立場の人間からすると、やっぱり使ってくれるユーザーの方が多い方がやりがいがあるじゃないですか。だから、もっと普及してほしいし、そのためにできることをやっていきたいと思います。

高橋氏: その通りですね。数学教育以外にも、工学系とか、芸術関係とか、使い道は本当にたくさんある。もしかしたら、それぞれの専用のバージョンが出て来ても面白いかもしれないですね。

Q. 今日はどうもありがとうございました。

 

長坂氏が文系学生対象に行った授業のノートブック
青空文庫から「銀河鉄道の夜」をダウンロードし、Mathematicaで文章中の漢字の割合や、何年生までの知識でどれくらい読めるかをシミュレーションした例

 重要文化財に指定された歴史ある建物も残る神戸大学の六甲キャンパス。斜面に沿って広がっているため、キャンパス内のどこからでも神戸の街並みと、その向こうに横たわる神戸湾が見晴らせます。おまけに、野生のイノシシが出るというほど周辺は緑ゆたか。キャンパス内を歩いているだけで、気分が晴れ晴れとしてきます。今までいくつかの大学を取材で訪れてきましたが、この六甲キャンパスにベストロケーション賞を進呈したいと思います(賞品はありません)。 (曽根)

 お二人の出会い、Mathematicaとの出会いなど、とても気さくに話して頂きました。そのお話の端々に、教育やMathematicaへの熱い思いがこめられていたような気がします。取材した日はとても晴れていたのですが、私も帰路晴々とした気分だったのを覚えています。(バスで少し酔いましたが) (小林)

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