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田子精男氏インタビュー
「世界中のコンピュータをつないで、”わ”を広げよう」
世界中のコンピュータをつなぎ、あたかも一つのマシンのように使う、これがグリッドの技術です。今回は、金沢大学 田子研究室の田子氏、高瀬氏、加藤氏にグリッドコンピューティングについてお話を伺いました。特に、私たちの生活に役立つアプリケーションの研究をされています。連載のイントロダクションとしてお読みください。
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金沢大学大学院 自然科学研究科 教授
数物科学専攻 田子 精男氏
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1972年東北大学大学院理学研究科卒。1971年(株)富士通研究所入社。1973年 ダルハウジー大学数学科ポストドクトラルフェロー。1974年富士通(株)転社。1997年金沢大学理学部教授。2004年金沢大学大学院自然科学研究科教授
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 グリッドに興味を持ったのはなぜですか?
1997年に金沢大学にきたのですが、その当時、グリッドという、1台のコンピュータではできないような解析をたくさんのコンピュータをつないで行うメガコンピューティング、コンピュータを超えたコンピュータという意味のメタコンピュータが話題になっていました。以前から大規模計算を行っていたので興味がありました。
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そして、今から4年ほど前、「The Grid」という本を読み始めることから勉強会を始め、半年後にグリッドのセミナーを開催しました。その時の結論は、「とにかくグリッドのミドルウェアGlobusを使えるようにしないようにしないといけない」ということでした。今はUNICOREを使っています。学生には「グリッドで日本一になれ!」と言って、インストールや使い方などを整備しました。
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高瀬氏(左)と加藤氏(右)
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 グリッドの技術は、どんなところで役立つのですか?
グリッドのメリットは、自分のところに強力なコンピュータをおかなくていいことです。自分のところで処理しきれないような膨大な計算を、計算資源を意識しないで実行できます。 裏側でつながっているコンピュータを自分のコンピュータという感覚で使用できるのです。英国オックスフォード大学では、世界200ヶ国の140万台のコンピュータの空き時間を利用して、35億個の分子へ解析ソフトを適用し、炭疽菌に効果がある分子30万個を、当初の三分の一の時間の24日間で見つけたという事例があります。 分野としては、飛行機や半導体の設計シミュレーション、遺伝解析や天文データなどの膨大なデータ処理です。それから脳のMRI画像処理などの医療。どれも大規模な計算が行われます。
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 この研究室ではどのような研究をしているのですか?
PIVの例
(デルタ翼データの可視化
結果)
(拡大図)
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グリッドをやるのに何か成功事例が欲しいな、と思っていた時、たまたま、 PIV(粒子画像流速測定法)のソフトを使っていた韓国の友人が、「そのソフトを使うには高性能なコンピュータが必要だが、なんとかネットワークで使えるようにならないか」という話がありました。
「おもしろい、やりましょう」ということで急速に話が進んで、グリッドをベースで PIVのWeb研究所(PIV Web Laboratory: PIV-WL)を作りました。もうすぐ公開できるところまでできています。
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 他には、どのような分野で利用できるのですか?
グリッドは計算というイメージがありますが、SARSで大騒ぎした時の国際会議をグリッドでやってるんですよね。”顔の見える研究”、アクセスグリッドといいます。研究の相談にのったり、パッケージの使いか方を教えたりできます。この研究室では、お互いの顔や画面をみながら行う、デスクサイドラボラトリというシステムを作っています。
その他は、ビジネス分野でしょう。Webサービスで、金融や株式市場に応用できます。
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 今後やりたいことは何ですか?
アプリケーションを増やしたいと思っています。今までのグリッドは、いかにハードウェアをまとめるかというミドルウェアの研究に集中していて、その上で動くアプリケーションがないのです。
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現在、研究室内だけで使用できるLab Grid(ラブじゃなくてラボラトリのラボです)の環境も作っています。休眠状態のパソコンを使って、計算したい時に分散処理を行ったり、WordやExcelの計算が割り込んできた時に、それらのパソコンは切り離して、パソコンの優先順位をつけるような仕組みを作っているところです。
手元に高性能な計算機がなくてもシミュレーションができる環境をユーザーに提供したい。それは単にASPや計算センターではなく、ユーザーが好きな時に、好きなだけいつでも使える環境を作ってあげたいと思っています。
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PIV-WL
(PIV研究者を支援するシステム)
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 研究室の雰囲気は?
何でも遠慮なく、みんな思ったことを好き勝手言える環境です。また、研究室では、例えば4月は、年間計画会、お花見、新人歓迎バーベキュー、というように行事のたびに飲み会があり、とても楽しいです。
それから、研究室内では、インフラ係、知的財産係、広報係、レクリエーション係など全部決まっています。苦手なものが担当になるので、文章の下手な学生はメルマガ係です。
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 グリッドの研究で楽しいと思う瞬間は?

熱く語る高瀬氏
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グリッドはたくさんのコンピュータを使うので、自分の手元にないコンピュータが動いているということを実感できた時、楽しいなあと思います。
今は、閉じた狭い研究室の環境ですが、わたしたちが作ったグリッドシステムがもし世界中に広まったら、世界中のコンピュータが一斉に動き出すのを想像するだけで、すごいなあと思います。それがグリッドの魅力です。
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 関連ページ
これから数回に分けて田子研究室の研究を詳しく紹介いたします。ご期待ください。
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